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脊椎手術を受けるタイミングについて
病気の治療全般に言えることですが、治りやすい病気の要素として、
その病気の程度が軽い、病気になってまだ間もない、患者さんの年齢が若い、とうい3つのことがとても大切です。
これは、脊椎の病気でも同じです。
特に手術による治療が必要な場合、この要素は術後の回復に大きく影響します。
私のクリニックでは、
「脊椎の手術は、いつ頃、どの程度の症状になったら受けるべきなのでしょうか」
という質問がとても多いのです。
脊椎疾患はがんなどの病気とは違って、それ自体が直接命にかかわることはほとんどありません。
ですから、年齢や症状の重さに関係なくすぐ手術すべきだ、ということにはならないのです。
脊椎外科医が手術を行うタイミングを決めるにあたってとても重要なことは、予後の予測です。
簡単に言えば、これを放っておくと、今後症状がどうなっていくのか、という予測です。
診断された病名が全く同じ患者さん同士でも、今後の病状変化も同じということは決してありません。
症状がどんどん悪化する患者さんもいれば、このまま長期間症状が固定してしまう方、
あるいは、いったん症状がひどくなっても、徐々に回復に向かう方もいるのです。
複数の脊椎外科医にかかった患者さんの中には、それぞれの医師から正反対の意見や方針を伝えられ、
何が本当なのかわからなくなり、途方に暮れて私のクリニックを受診され方が少なくありません。
つまり、この予測をもとに手術のタイミングを決めるのは、医師の経験や能力に大きく左右されているのが現状なのです。
ひとこと、医師の経験と言っても、単なる物理的な年月の長さということではありません。
手術した医師自らが、手術した患者さん一人一人を長い期間、丁寧に、詳細に診続けているという自信と熱意に裏打ちされたものであるべきと考えています。