腰椎変性すべり症

YOUTSUIHENSEISUBERISHOU

腰椎変性すべり症とは

腰の骨が年齢とともに前後あるいは左右にズレてしまう病気です。
これによって脊柱管が狭くなり、腰の神経の本幹:馬尾(ばび)が締め付けられます。
この病気は腰部脊柱管狭窄症よりも若い年齢(40~50歳くらい)で発症することが多いようです。

ズレ(すべり)を理解していただくためにレントゲン写真やMRIなどの画像を提示します。

56才女性の腰椎変性すべり症レントゲン写真

腰椎変性すべり症のMRI画像

図1は56歳女性の腰椎レントゲン写真とMRIです。
第4腰椎が第5腰椎に対して前にズレている(すべっている)のがわかります。
また、MRIでは、このすべりのために第4腰椎と第5腰椎の脊柱管もズレてしまい、髄液と神経を包む硬膜(こうまく)という袋が締め付けられて細くなっています(図1、2)。

症状と治療

症状と治療は腰部脊柱管狭窄症の馬尾型の症状とほぼ同じです。

私の臨床経験では、変性すべり症のほうが狭窄症よりも腰痛が強い傾向があるようです。
体幹筋力の強化やストレッチなどの運動療法がすべり症の予防に効果があるというエビデンスは不明です。

腰椎すべり症の手術について

腰椎の脊柱管狭窄症と同様に、下肢の痛み、しびれ、脱力による歩行障害や、排泄の障害などの症状が強ければ手術が必要となります。

腰椎に狭窄症があり、すべりがない場合は、多くは腰の後ろから骨や靭帯などの脊柱管を狭くしている要素を切除するだけで十分ですが、すべり症ではズレ(すべり)の程度が大きかったり、将来さらにすべりが大きく不安定になることが予想される場合は、図3と4のように、骨や靭帯を切除して神経の圧迫を解除すると同時に、不安定な部分の腰の骨を金具で固定することもあります。