首下がり
KUBISAGARI
正しくは首下がり症候群と言います。
頭を支えたり、首を後ろにそらしたりする筋肉が何かの原因で弱くなったために、体を起こしている時に頭の重みを支えきれず、首が前に曲がった姿勢をとります(図1)。
アゴが胸にくっついた姿勢を取るので、chin on chest (チン オン チェスト)変形とも表現されます。
多くは仰向けになれば首はまっすぐな姿勢に戻ります。
長く放置すると曲がったまま固まってしまうこともあります。
原因
首下がりには多くの原因があることが知られています。
筋肉が異常に緊張し続ける病気(ジストニア)や筋肉が弱くなる病気(ミオパチー)、あるいはパーキンソン病などの病気が原因としてあげられます。
私の外来では、骨粗しょう症で背骨が折れたりつぶれたりした結果、腰や背中が前に曲がってしまい、それに続いて首下がりの状態になってしまう患者さんを見ることがあります。
また、頚椎手術によって首の筋肉がダメージを受け、頭を起こしていられなくなることもあります。
特に頚部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の手術では椎弓形成術(ついきゅうけいせいじゅつ)と言って首の後ろから脊柱管を広げる手術が一般的ですが、この方法では首の骨の後ろに着く筋肉を上下左右に広く切り離すために、手術後にしばしば頭が前に垂れ、首の骨が後ろに凸の後弯変形(こうわんへんけい)が起きてしまいます。
症状
姿勢の問題とともに、起きて姿勢を保とうとすると首や背中が痛くなるために、長く起きていることができなくなる患者さんもいます。
また、前を見ることが困難になれば、歩くこともままなりません。
治療
原因となる病気の治療が第1優先であることは言うまでもありませんが、そのような治療も効果がないことあります。
起立、歩行といった当たり前の日常生活ができなくなれば、手術を行うこともあります。