腰椎椎間板ヘルニア

YOUTSUITSUIKANBANHERUNIA

椎間板ヘルニアとは

背骨は24個以上ある脊椎骨(椎骨)が縱につながって一本の柱のようになっています。
椎間板は隣り合った上下の脊椎の骨(椎骨)を互いにつなげています。
また、上下の骨の間に挟まっているので、クッションの役割も果たしています。
この椎間板は”今川焼き”のような2層構造になっています。
つまり、”黄色い皮”の部分が線維輪と呼ばれる固めの軟骨で、その中の”あんこ”にあたる部分が髄核と呼ばれる柔らかめの軟骨です。
図1は背骨を左横から見た椎間板のイラストです。
左が正常椎間板、右がヘルニアになった椎間板です。
正常椎間板の構造と椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは皮の部分である線維輪が、経年変化やくり返し椎間板にかかり続けるねじれや圧迫などのストレスによって断裂し、その切れ目から”今川焼きのあんこ”に相当する髄核が外に押し出されてしまう状態です。
図2は日本整形外科学会のホームページから引用した腰椎椎間板ヘルニアを後ろから見たイラストです。押し出された髄核が神経を強く押しています。

椎間板ヘルニアのイラスト

症状について

上の図のように一つの神経だけが押されるような通常のヘルニアでは、大多数の患者さんは片方のお尻から太ももの後ろ側、ふくらはぎにかけての痛みやしびれを訴えます。また、痛いほうの足に力が入りにくくなったりします。
痛みが強いと患者さんは体を片方に傾けた姿勢をとることもあります。重いものを持ったり、体を前や後ろに曲げたりすると痛みが強くなります。
ヘルニアがとても大きく、馬尾という神経の束を強く押すほどになると、両足の痛み、しびれ、脱力だけでなく、排せつの機能も損なわれることがあります。

診断と治療

椎間板ヘルニアの診断にはMRIが有用ですので、典型的な症例の手術前後のMRIを提示しました。
治療の第一選択は手術ではなく保存治療です。なぜなら90%以上の腰椎椎間板ヘルニアの患者さんは神経根ブロック、硬膜外ブロック安静、投薬、理学療法などを続けているうちに治ってしまうからです。例外として、上記の治療に反応しにくい強い痛みが続いて、日常生活や仕事にも大きな支障が出ている場合、あるいはヘルニアがとても大きいために、下肢の運動マヒや排せつの障害が出てしまった場合、などは手術を行います。