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武漢からのメール


食べ物の話が二回続いたので、今回は仕事に関する話題を提供したいと思います。

今年3月12日に、私は中国のある若い脊椎外科医から一通のメールを受け取りました。
こういうやり取りは、一般的に英語で行われます。
内容の一部を以下に記したいと思います。

私は武漢の総合病院に勤務する脊椎外科医で、頚椎外科を専門に6年間やってきました。
ここ武漢では、日本や欧米諸国のように高価な金属材料が容易に手に入らないので、
金属で補強固定する必要のない手術法である、白石先生が開発した筋肉温存型の手術に
大変興味を持っていました。

先生の手術法の英論文を初めて目にして以来、先生の論文はすべて読んで手術のやり方を勉強してきました。
そして、2018年12月から2019年11月の間に、私は先生の方法で8人の頚椎患者さんを手術しました。

おかげさまで、結果は非常によく、私にとって特に印象的であったことは、これまでの
頚椎手術で経験する術後の首や肩の痛みと重苦しい凝りのような症状や首の後ろ凸の変形などが、この8人の患者さんは誰にも起こらなかったということです。
このような手術法を開発し、世に報告した白石先生にはこの手紙で心から敬意を表したいと思います。

新型コロナウイルスの感染が急激に拡大した武漢で、私はこのところ、自宅に籠りっきりですが、
先生の手術法をより正しく実践してゆくために、この時間を利用して、もっと深く先生の手術法を勉強したいと思っています。
そこで、私から先生の手術法についていくつかの質問がありますので、
是非ご教授いただければ幸いです。

これを読んだ時、私の胸の奥深くに、何とも表現し難い感情がこみあげました。

「武漢の医療は、まだ生きている…」

その時点では武漢は封鎖されており、報道では医療崩壊が伝えられていました。
私はすぐに彼にメールで返事を送りました。

私の頚椎の手術法を実践してくださり、とても良い結果が得られたというご報告、ありがとうございます。
大変嬉しく思います。
武漢をはじめ中国の多くのCOVIT19の犠牲者に心から哀悼の意を表します。
私たちは、中国の多くの医療従事者が、世界の人々をこの感染から守るために、自らの命をかけて感染拡大を食い止めようとしていることに心から感謝しております。

彼の質問と私の答えは専門的すぎるので割愛します。

私は近い将来、武漢で脊椎手術が再開することを確信しました。
そしてその時には、世界最高レベルの手術手技で再開されるのです。