リウマチ、外傷による上位頚椎不安定症

RIUMACHI

上位頚椎不安定症とは

7つの首の骨のうち、頭に最も近い1番目(環椎:かんつい)と2番目(軸椎:じくつい)の骨がいくつかの原因によってズレたり、ぐらぐらしたりする状態です。環椎と軸椎は頭と首のつなぎ目にあり、環軸椎亜脱臼(かんじくついあだっきゅう)とも呼ばれます。

白石脊椎クリニック患者の上位頚椎不安定症画像01

白石脊椎クリニック患者の上位頚椎不安定症画像02

白石脊椎クリニック患者の上位頚椎不安定症画像03

白石脊椎クリニック患者の上位頚椎不安定症画像04

原因として、主に関節リウマチ(図1)、外傷(図2)、特に歯突起(しとっき)骨折(図3)、歯突起後方偽腫瘍(ぎしゅよう)(図4)、先天奇形などが挙げられます。それぞれの典型例の画像を提示します。

環軸椎亜脱臼の症状

初期は、首を前後左右に曲げたり振り返ったりする動作で首の後ろや後頭部から頭のてっぺんにかけて痛みが出ます。
ズレやぐらぐらの程度が進むと、神経の本幹である脊髄がそれによって圧迫されるため、手のしびれや指先の細かい動きが障害されるなどの神経症状が出てきて、さらに進行すると胴体や下肢にまで神経症状の領域が広がります。
また、病気の場所が頭と首のつなぎ目であるため、その近くにある延髄や小腦の症状として、めまい、ふらつき、呼吸障害(睡眠時無呼吸など)が起こることもあります。

診断

MRIが最も有用ですが、これだけで病気の状態が十分につかめないことも多いため、首を前後に曲げて撮影する単純レントゲン写真やCT検査、椎骨動脈像影検査なども合わせて行います。

治療

外傷による小児の骨折がない環軸椎亜脱臼では、入院して首をけん引し、骨のズレをもとに戻したらカラーをしばらくつけて治るケースも多くあります。
また、関節リウマチでは最近の薬物療法の進歩のおかげで、亜脱臼の進行が抑えられるケースが増えています。
しかし、成人のそのほかの原因によるものでは、亜脱臼を根本的に治す方法はありません。
程度が軽ければ症状に応じて鎮痛剤を投与しながら定期的な画像検査による経過観察を行います。
しかし、ズレやぐらぐらが徐々にひどくなり、脊髄の圧迫による手足の麻痺が進行する例では、手術しなければならなくなります。