院長コラム

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首の骨のカーブ あるべき自然な形 その1

首の骨は横から見るとゆるやかに前弯(前凸の弯曲)しているのが正常です(図1)。

この正常で自然な首のカーブを生理的前弯と言います。

これによって首は重い頭を支え姿勢を保つのに有利な構造になっています。

これとは逆に、首が後弯(後ろ凸の弯曲)しているとその程度が強ければ強いほど構造的に不利になります。

それが頭痛、首の痛み、肩こりといった症状の原因になることも多々あります。

また、あとで述べますが、神経の圧迫を解除する首の手術(除圧術)をしても除圧の効果すなわち手術の効果が現れにくくもなることもしばしば見られます。

最近、この生理的前弯が消失(ストレートネック)(図2a)していたり、後弯(図2b)している頚椎症性脊髄症あるいは頚部脊柱管狭窄症の患者さんが神経の除圧術を希望して私のクリニックを受診される機会が増えています。

これらの患者さんの多くは医師から

「首の後ろから手術(椎弓形成術)をすると術後に後弯変形が悪化する(図3,4,5,6)ので、それを防ぐために首の前側あるいは後側に金属のプレートやボルトを当てて首の骨を上下に長く固定(図7)しなくてはならない」

と言われ、セカンドオピニオンを求めて受診されています。

これから初めて首の手術を受けようとする患者さんだけでなく、図3,4,5、6でお見せした画像写真のように、他の施設で頚椎椎弓形成術あるいは頚椎脊柱管拡大術を受けて後弯が悪化したために私のクリニックに相談にいらっしゃる患者さんも少なくありません。

私の著書の中でも触れていますが、なぜ従来の頚椎椎弓形成術あるいは頚椎脊柱管拡大術によって、手術前のストレートネックが後弯になってしまう、あるいはもともとの後弯がさらに悪化してしまうのか、その理由は次回の「院長コラム」で詳しく説明させていただきます。